USJをV字回復に導いた立役者として知られる森岡剛さんの著書。
タイトルこそ「USJを劇的に変えた、たった1つの考え方」ですが、その内容はありとあらゆる仕事において重要な「マーケティング思考」と「キャリアアップの秘訣」です。
- マーケティングに興味のある方
- マーケターになりたいと思っている方
- マーケティング実務者
- 社会人としてのキャリアで成功したい方
- 就活生
こう書くとオフィスワーカーとして働いてる方全員に当てはまってしまいそうですがそのくらいオススメの1冊です。
是非みなさんに読んでもらいたいです。
- ・マーケティングの仕事とは
- ・キャリアはどのようにして選ぶべきか
- ・マーケティング思考をどのように仕事にいかせるのか
ここから本書をオススメする根拠として本書の要約を紹介していきます。
USJのV字回復
著者は2010年6月にUSJに入社しますが当時のUSJは2001年の開業の時こそ華々しくスタートしましたが、翌年から来場者が急降下、高コスト体質も災いしわずか3年後の2004年に事実上の経営破綻におちいりました。
そんななか社長に迎えられたグラン・ガンペルの手腕によって経営破綻状態は脱したものの集客は伸び悩み東京ディズニーランド・東京ディズニーシーにつぐ3位という座に甘んじていたのです。
著者はそのUSJの集客と売上をあげるために入社します。
入社直後からさまざまな調査を重ねた著者はUSJの集客が伸び悩んでいる原因を突き止めます。
それは社員たちがそもそも原因をはき違えているから。
そんなUSJ全体を正しい場所で戦うよう改革していくのです。
もう1点、著者が大きく改革をしたのは徹底的な消費者視点に立つということです。
それまでのUSJでも担当者たちは誇りを持って仕事をしていましたが、「ゲストが本当に喜ぶもの」と「ゲストが喜ぶだろうと作る側が思っているもの」が一致していないことを指摘する人間がいなかったということです。
著者は社長からしっかりと権限を与えられ、ゲストが喜ぶだろうと作っているものに対してマーケティングの責任者としてダメだしを行い「ゲストが本当に喜ぶもの」しかパークには出さないというスタンスを徹底します。
この結果として2010年以前は3割程度の成功率だった新プロジェクト成功確率が直近5年では9割を超えているそうです。
マーケティングとは?
マーケテイングとはもともとはアメリカで生まれた学問です。
学問として体系化されたのは19世紀から20世紀にかけてでアメリカを中心として実務者と研究者の努力の積み重ねで確立されてきました。
著者は大学を卒業し、アメリカ資本のP&Gに入社しマーケティングを学んだということです。
そんな著者がマーケティングが日本で発展してこなかった理由として指摘しているのが(1)規制によって自由競争が行われてこなかったこと
(2)終身雇用と年功序列という独特の人事制度があったこと
(3)技術志向に囚われ「良いものさえ作れば売れる」
と考えてきたことです。
ただ、今の日本においては大きな変革の時期にきており規制改革が進み、人事制度も様変わりしています。
これからはマーケティングの力が組織で大きな意味を持つでしょう。
キャリアについて
本書内で著者は
(1)マーケターになった経緯
(2)マーケターに向いている人、向いていない人
(3)キャリアはどうやって作るのか
という3つの章の中でこれからのキャリアについてアドバイスを書いてくれています。
マーケティング思考は何もマーケターだけのものではなくオフィスワーカーとして働くすべての人が使えるものだと思います。
著者紹介
著者:森岡 剛(つよし)
略歴:1972年10月12日生。1996年神戸大学経営学部卒業。同年P&Gジャパン・マーケティング本部に入社。ヴィダル・サスーンなどヘアケアブランドのブランドマネジャーを歴任後、P&G世界本社へ移籍。P&Gのメガブランド北米パンテーンのブランドマネジャー。北東アジアのアソシエイトマーケティングディレクター。P&Gが買収したウエラジャパンの副代表を歴任。
USJ:2010年6月、P&Gを退社しUSJに入社。2017年1月、USJを退任。
現在:2017年10月、「マーケティングで日本を元気にしたい」という大義の下、マーケティング精鋭集団「刀」の設立を発表。