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【書評と要約】イシューからはじめよ_知的生産の「シンプルな本質」

この記事はこのような方にオススメ

・『イシューからはじめよ』の内容をざっくり知りたい

・生産性の高い人になりたい

・ロジカルシンキングを使いこなしたい

・フレームワークを見てもイマイチ良く分からない

 

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まずは著者のご紹介をします。

世の中には沢山の書籍があります。

その著者も玉石混合です。

せっかくお金を出して購入したのに実は著者自身には何の実績もない怪しい人だったなんていうこともあったりします。

特にこういうビジネス書を購入される場合は著者の経歴や実績も確認しておきたいですね。

本書の著者・安宅和人(あたか かずひと)氏は東京大学大学院生物化学専攻にて修士号を取得後、マッキンゼー・アンド・カンパニーへ入社。2008年よりヤフー株式会社へ入社し2012年よりチーフストラテジーオフィサーに従事。2018年より慶應義塾大学環境情報学部の教授を務めています。

詳しい経歴は記事の最後に記載しておきます。

『イシューからはじめよ』の要約

本当に優れた知的生産とは・・・

世の中には「問題解決」や「思考法」をテーマにした本が溢れています。しかしそのような書籍の多くがツールやテクニックを紹介しており「本当に優れた知的生産」「本当に価値のあるアウトプット」にはフォーカスしている書籍は少ないように感じます。本書でもいくつかのツール、例えばロジックツリーやMECEなどは紹介しますがあくまでも本当にやるべき事を補助するための道具としての紹介です。「カナヅチを持っていればすべてのものが釘に見える」という言い回しがあるように目的やツールの真の意味を知らずにツールを使うのは危険なことです

イシューとは

では本当に優れた知的生産のために何が必要なのか?

それが本書を通して伝えられる「イシューに対して答えをだすこと」なのです。

イシューに対して答えを出すことこそが優れた知的生産でありバリューのある仕事なのです。

それではイシューとは何なのか?本書におけるイシューの定義とは

A:2つ以上の集団の間で決着がついていない問題

B:根本に関わる、もしくは白黒がはっきりしていない問題

この2つの条件を満たすものこそがイシューです。

イシューを見極めることこそが重要

問題はまず「解く」ものだと考えがちだが本当にすべきことは「解くべき問題」すなわち「イシュー」を見極めることにあります。「これは何に答えを出すためのものなのか?」というイシューを明確にするための時間を惜しんで問題に取り組み始めると結局目的意識がブレて多くの無駄が発生します

良いイシューの3つの条件

良いイシューには3つの条件があるといいます

本質的な選択肢である

インパクトのあるイシューは、何らかの本質的な選択肢に関わってきます。

「右なのか左なのか」というようにその結論によって大きく意味合いが変わる(=その後の行動そのものに変革を与えるもの)でなければ本質的なイシューとは言えません

深い仮説がある

仮説を深いものにするためには「一般的に信じられていることを否定できないか?あるいは異なる視点で説明できないか?」を考えることが大切です。

典型的な例として地動説と天動説があります。私たちが日常で生活していくうえでは太陽が地球の周りをまわっているようにしか感じられません。その常識を否定してこそ良いイシューが生まれたのです。

答えを出せる

世の中には現代の知識や能力ではどうしても解けない問題というのが存在しています。そのように「今」解答が出せない問題に時間をとられるのはビジネスマンにとっては無駄でしかありません。

例えば数学の世界で有名なフェルマーの最終定理。あの問題は提示されてから300年以上もかかってようやく解かれました。この定理も現代の近代数学の粋を尽くしてようやく解いたのです。

ビジネスマンがそのような「解けない問題」に関わっている時間はありません。

イシューを分解しストーリーを組み立てる

イシューを見極めた後はアウトプットの準備を行います。まずはイシューの分解です。多くの場合イシューは大きな問いなのでいきなり答えを出すことは難しいです。そんなイシューを「答えを出せるサイズ」まで分解します。この分解する作業の上で「MECE」や「フレームワーク」を活用します

アウトプットをする

イシューを分解したら実際の分析を行います。実際に分析を行うためには気を付けるべきポイントが沢山あります。

・答えありきの分析をしない

・欲しい数字や証明がでてこない場合もある

・自分の知識や技術では通用しない場合もある

アウトプットにおける注意点

実際のアウトプット(分析)が終わっても伝え方にも注意が必要です

・伝える相手は無知だと思え

・論理構造を確認する

・流れを磨く

・エレベーターテストに備える

・チャートに落とし込む

書評

本書では「ロジカルシンキング」や「フレームワーク」を学ぶ前提としての「イシューの探し方」を学べます。イシュー度の高い問題を発見できれば価値のある問題だけを扱うことができるようになります。

逆にイシュー度の高い問題を発見できなければ無駄な時間を過ごすことになってしまいます。本書でイシュー度の高い問題の発見方法と質の高いアウトプットを学ぶことでよりバリューのある仕事ができる人間になりましょう

著者経歴

1968年富山県生まれ。東京大学大学院生物化学専攻にて修士号取得後、マッキンゼー・アンド・カンパニーに入社。4年半の勤務後、イェール大学・脳神経外科プログラムに入学。2001年末、マッキンゼー復帰に伴い帰国。マーケティング研究グループのアジア太平洋地域におけるメンバーの一人として飲料・小売り・ハイテクなど幅広い分野におけるブランド立て直しと商品・事業開発に関わる。また、東京事務所における新人教育のメンバーとして『問題解決』『分析』『チャートライティング』などのトレーニングを担当。2008年よりヤフー株式会社に移り2012年よりチーフストラテジーオフィサーに就任。事業戦略課題・大型提携案件の推進に加え、市場インサイド部門、ビッグデータ戦略などを担当。データサイエンティスト協会理事・スキル定義委員会。総合化学技術イノベーション会議(CSTI)基本計画専門調査会ほか公職多数

 

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