- ・ANAが副業解禁した背景
- ・今後、副業解禁の流れが加速するのか?
副業解禁の流れが加速しています。
ANAが大規模な給与削減案と副業解禁を発表しました。
その内容は以下の通りです。
・基本給の削減
・冬の賞与を0
・他社との雇用契約を認める
現時点では労働組合への提案ですが、これが実現すると年収で3割の削減になるということです。
一方でANAは「他社との雇用契約を認める」方針を発表しました。
以下は朝日新聞記事の引用です。
全日本空輸(ANA)が社員の副業範囲を大幅に広げる方針を固めたことが9日わかった。従業員が勤務以外の時間を活用して、ほかの会社とも雇用契約を結べるようにする。新型コロナウイルスの影響で航空需要が落ち込む中、収入の増加やスキルアップにつなげる狙いで、実現すれば大手航空会社では初となる。
引用元:朝日新聞デジタル(2020.10.10)
対象はパイロットや客室乗務員を含む15000人ということです。
また、今後、親会社であるANAホールディングス傘下の会社への拡大も検討していくということです。
当然ながらコロナによる収益悪化が直接の要因となっていると思われますが実はそれだけでは無いと思われます。
- ・ANAが副業解禁したのは収益悪化にプラスして厚生労働省の方針変更があったから
- ・今後、企業の副業解禁の流れは加速することはあっても減速することはない
ここから下で結論の根拠を書いていきます。
厚労省の方針変更とは?
実は今年の8月厚生労働省の諮問機関である労働政策審議会の分科会では厚労省のまとめた副業促進のための新しい指針案を了承したというニュースがありました。
以下は東京新聞の引用です。
労働政策審議会(厚生労働省の諮問機関)の分科会は27日、厚労省がまとめた副業を促進するための新しい指針案を了承した。本業と副業の労働時間は通算すると定めたが、各企業は働く人の自己申告に基づいて把握するだけでよく、働きすぎを防げるのか疑問視する声が上がりそうだ。
引用元:東京新聞(2020.8.28)
どういうことかというと、厚労省が新しくまとめた「副業・兼業の促進に関するガイドライン」においては労働時間の管理は働く側の自己申告によって行われるとしました。
これは仮に労働者がA社とB社という会社で働いている場合、どちらの会社でどれだけ残業しているかについてもう一方の会社に通知する際には労働者の自己申告を採用するということです。
お互いの会社のPCの記録を確認するとか様々な案がでたようですが、副業促進を優先するために最も簡便な手法に落ち着きました。
当然いま懸念されることは労働者が自らの残業時間を過少申告して過重労働に陥ることですが、国としては現状の経済状況では1社の給与で満足な生活を送ることが難しいのであれば副業してでも稼いでほしいという本音があるのでしょう。
現状、副業を認めない企業のおよそ7割が労働時間が管理できなくなることを理由にあげていましたが今回この理由を厚労省側が排除した感じですね。
今後副業が広がる理由は?
そもそも日本で副業が認められない理由として、以下の3点があげられていました。
①本業がおろそかになる
②秘密が漏洩する
③労働時間の管理がしづらい
今回、厚労省が「労働時間の管理がしづらい」のハードルを下げました。
「本業がおろそかになる」に関しては本質論で言えば業務時間外の行動を会社のルールで縛るのことのほうが理にかなっていなく、副業をしようがしまいがおろそかになる人はなるし、ならない人はならないんですよね。
「秘密が漏洩する」は社員には当然ながら会社の秘密を漏洩してはならないという内容の就業規則があるわけですからそれを順守させれば良いだけですね。
今までは副業を禁止されていても終身雇用と年功序列がある程度機能していましたので、雇用されている側も我慢をしていましたが、今回のANAのように思い切った給与削減を行わなければ企業としての存続も難しいという会社も出てくれば会社としても雇用される側としても1社ではなく複数の会社から収入を得ることを目指すことが求められる時代なのだと思います。
まとめ
今回ANAという大企業が給与の削減と副業の解禁に踏み切ったことでここ数年盛んに叫ばれてきた流れがますます加速すると思われます。
会社員の立場から自らの身を守るには、社内において唯一無二の存在を目指すことと、雇用される以外の稼ぎ方を身に付けることでしょう。