今の会社にこのままいて良いのか不安。でもどうしたら良いのか分からないよ
そんな悩みを持つ方々はまずこの1冊を読んでみよう
転職が当たり前と言われる時代になっています。
ある調査によれば新卒で入社した社員の6割が一生を今の会社で過ごすつもりはないと考えているということです。
一方で、転職はしたいけれどもなかなか実際のアクションは起こせないという人も多くいらっしゃいます。
なぜ転職というアクションを実際に起こすことは難しいのか?
転職について真剣に考えるとさまざまな悩みにぶつかります。
・自分には市場価値があるのか?
・転職して給料が下がったらどうしよう
・どんなキャリアを積めばよいか分からない
このような転職にまつわる悩みへの解決策を示してくれるのが「転職の思考法」です。
この記事では「転職の思考法」の要約をしていますので、気になる部分、より深く知りたい部分があれば実際の書籍を手に取っていただければと思います。
・このまま今の会社にいていいのか不安な方
・転職したいけれど不安で一歩が踏み出せない方
・自分の市場価値が気になるけれどどうしたら良いのか分からない方
・将来のキャリアについて真剣に考えたいけれど指標が無くて困っている方
「転職の思考法」著者の紹介
本書の著者は「北野唯我」さんという方です。
経歴としては、兵庫県出身、神戸大学経営学部卒から就職氷河期に博報堂へ入社し、その後、ボストンコンサルティンググループを経て2016年にハイクラス層を対象とした人材ポータルサイト「ワンキャリア」に参画し、サイトの編集長としてコラム執筆や対談、企業現場の取材を行っています。
また、テレビ番組のほか、日本経済新聞、プレジデントなどのビジネス誌で「職業人生の設計」の専門家としてコメントを寄せるなど行っていますので正に「仕事選び」「転職」「キャリア」の専門家と言えるでしょう。
本書の特徴
ここからは本書の大きな特徴を記載していきます。
物語形式を採用
本書は通常のビジネス本とは異なり物語の形で進んでいきます。
主人公の青野はみずからのキャリアに漠然と悩みを抱える30歳のどこにでもいる「普通のサラリーマン」です。
この青野がふとしたことから著名な経営コンサルタントである黒岩と知り合い、黒岩からキャリアの考え方や転職について教わるという流れで話が進行しています。
青野はあくまでも普通
主人公の青野ですが、どこまでいってもいわゆる普通です。
特別仕事ができるわけではない。かといって社内でお荷物扱いされているわけでもない。とはいえ今の会社や自分の周りには金曜日を楽しみにしている人ばかり。自分もそんな周囲と一緒に会社の愚痴を言って過ごしているがどうすれば良いのかはわからない。今の会社にも不満はあれど就活の時にそれなりに苦労して入社しているので愛着はある。
おそらく本書の書評・要約であるこの記事を読んでくださっている方々の中にも今の会社に不満や将来への漠然として不安はあってもどうすればいいかわからないという方は沢山いらっしゃると思います。
本書はそんな皆さまと同じ青野が黒岩と出会い、少しづつ自らの悩みと向き合い、本質に気づき、新たなキャリアに踏み出すストーリーとなっています。また、このストーリーですが、ボリュームがそこまで多いわけではないにも関わらずしっかりと出来ておりストーリー部分だけでも楽しめるクオリティになっています。普段小説は読むけれどビジネス書は手に取らないという方にとっても取っつきやすいと思います。
転職に必要なのは情報ではなく思考法
それでは転職の思考法とはいったい何でしょうか?
なぜ転職が怖いのか
なぜ人は転職となると怖いのか?また尻込みしてしまうのか?それは多くの人にとって転職とは『初めての意思決定』だからです。また『しなくても良い意思決定』でもあります。
多くの人は進学先や就職先を自らの意思で選んできたと思っていますし実際にその通りなのかもしれませんが、大前提として選ばなければならない状態だったから選んだんです。進学や就職のときの選択肢でする・しないという選択肢は確かにありますが、現状のこの国ではとりあえず進学する、とりあえず就職するという選択をする人がまだまだ大多数です。まず進学、就職することが普通であり当然という前提のもとに行き先を選んでいるに過ぎません。
一方で転職となるとそもそも転職する必要があるのか?無いのか?転職しなくても今の会社にいればいいのでは?という前提条件から考える必要があります。さらに付け加えると転職というのは新しい職場、新しい仕事を手に入れるために今の職場、仕事を捨てるという意思決定が必要になります。人は手に入れるのに苦労していればいるほどそれを捨てることが惜しくなります。
転職の思考法とは?
転職の思考法とは、転職にともなう恐怖や迷いを超えて自分にとってより良い仕事を探すための判断基準です。この判断基準を持つことで今の仕事と転職先の仕事を冷静に比較してどちらが自分にとって相応しいのか?どんな職場を選べば自分にとってベストなのかの判断ができるようになるはずです。
『仕事の寿命』と『延びるマーケット』を意識する「一生食えるを確保する4つのステップ」
仕事の寿命ってあまり聞かない言葉ですよね。ここからは聞きなれない『仕事の寿命』とマーケットを意識するお話に入ります。
(1)自分のマーケットバリューを測る
マーケットバリュー、つまり市場価値ですね。そもそも転職というのは『自分』という商品を転職市場という市場に売り出すことですよね。
『自分を商品として捉える』これがマーケットバリューを測るということです。
日本では終身雇用制度が長く続きそれが当たり前のように捉えられていたのでこの『自分という商品』を転職市場で売りに出すという感覚をもっていない人が多いですが、実際には自分の価値にいくらの値段(年収)を付けてもらえるのか?というのが転職活動の本質ですよね。
そんな自分の市場価値を測るには3つの資産を使います。
・技術資産
・人的資産
・業界の生産性
技術資産
その名の通り高い技術を持っているかどうかということです。
技術資産は『専門性』と『経験』で決まります。専門性とは例えば法人営業を〇年やってきたとか、システム開発を〇年やったとかです。
一方で経験とは職種とは関係ない経験値です。
例えば部長の経験だったり、プロジェクトリーダーの経験のような管理職の経験だったり、〇〇業界に精通しているというような他の会社、他の職種でも応用可能な経験のことです。
この二つが技術資産ですが、本書では更にどちらを優先すべきか?まで言及しています。正解は20代ではまず専門性を取ることが優先されます。何故なら何の専門性も無い人間にはそもそも経験と呼べるような仕事が回ってくるチャンスが少ないからです。当然、会社ですので偶然や人の巡りでチャンスが回ってくることもあるかと思いますが、専門性の有る人間と無い人間では有る人間の方が有利になります。
人的資産
どんな会社にもその人の顔だけで仕事を持ってくる人がいます。これこそが人的資産です。この人的資産はともすれば軽視されがちですが、実は世の中の多くの仕事はこの人的資産で回っているという側面もあります。〇〇の仕事は社長の知り合いの会社に依頼するとか、〇〇は部長が前から付き合いのある会社に依頼するなどです。もちろん技術などで差をつけることもありますが、仕上がりや値段に大きく差がつかない業務の場合にはこの人的資産が生きてきます。自分に人的資産があるかどうかは自分が会社を変わっても仕事を回してくれそうな人や助けてくれそうな人がいるかどうかを思い浮かべれば分かります。〇〇という会社の人間ではなく個人として付き合い続けてくれる人がいるかどうかです。
業界の生産性
同じように忙しく働いていたり、同じようなスキルを持って働いていても給料に圧倒的な差があるのが世の中です。なぜ同じように忙しくしているのに給料に差が付くのか?
これは業界そのものの生産性が違うからです。
生産性の低い業界では忙しくても一人一人の生み出す利益が小さいので給料も上がりません。一方で生産性の高い業界ではそこまで忙しくなくても高い給料をもらっていたりします。
またその業界が伸びているかどうかも重要です。業界全体が伸びていて、その業界にどんどんお金が流れ込んでくるような状態だと売上が伸びて給料が上がるという現象が起こります。転職活動で給料を重要視するのであればその業界の生産性は無視できません。
平均年収400万円の業界で800万円の求人を探しても永久に出てきません。また伸びている業界に身を置くことはそれ自体が自分の価値を生むこともあります。かつてのユニクロや楽天のように急成長した会社に在籍していた人間はその急成長を肌で感じていた、急成長の荒波を戦い抜いたという経験自体が価値を生むからです。技術資産も人的資産も持っていない人間はまずこの業界の生産性や伸びている業界かどうかに着目して転職活動をしてみるのも良いかもしれません。
(2)今の仕事の寿命を意識する
あまり意識されていないことですが仕事にも寿命があります。
例えばプログラミングが一般的に仕事と認識されるようになったのはパソコンというものが誕生してからでしょう。ゲームクリエイターなどはファミコンという存在無しには生まれてこなかった職業かもしれません。
駅の改札で切符を切る人は自動改札機が普及することでその仕事自体が無くなりました。電車の切符を作成するという業務は交通系電子マネーの普及に伴い現在ではその業務を大幅に縮小していることでしょう。これらは極端な例だとしても今後も新たな仕事がたくさん生まれるのと同時に消滅する仕事もあります。
自分の仕事はどうでしょうか?
自分の仕事が『仕事のライフサイクル』という概念の中でどの位置にいるのかを意識することはとても大切です。 仕事のライフサイクルとは仕事そのものに対して①ニッチ ⇒ ②スター ⇒ ③ルーティーンワーク ⇒ ④消滅のどの段階にいるか意識することです。仕事のライフサイクルは言い換えると雇用の数という考え方も出来ます。
ニッチ
この状態だとそもそも仕事をしている人が少ないので替えが聞きません。この状態はいわゆる新しい仕事でありその仕事がこれから伸びるかどうかは誰にもわかりません。当然その仕事についている人達はその仕事を延ばすために日夜頑張るわけです。
この段階だと仕事が伸びていけば雇用も伸びますし、待遇も良くなっていくでしょう。
現状だとモバイルバッテリーのシェアや自転車のシェア、ビニール傘のシェアなどが駅で見かけるようになりました。彼らはこのシェアビジネスが今後もっと普及して日本中に広がれば業界の先駆者になれますが、もしかしたら普及せずに消滅してしまうかもしれません。
スター
現状で言えばAI関連の技術者やプログラミングといったいわゆるIT関連の技術を持っている方々はこのスターの段階です。
技術者は増えていっているとはいえまだまだ足りないと言われているので人がどんどん参入しています。企業としては雇用が追いつかないので待遇の改善を図りながら沢山の人を雇用し続けている状態です。
ルーティンワーク
会社はまず②のスターの段階でたくさんの人を雇用した後でそのプロセスを誰でもできるようにしようとします。
マニュアルを整えたり、機械で代替できる部分は機械にやらせます。
こうして沢山の雇用を生み出していたスターの仕事は③のルーティーンに変化します。ルーティーンに変化すると雇用は絞られていき本当に必要な人数だけが残っていきます。自分の仕事がこのルーティーンの段階だと仕事としての賞味期限はあと少しなのかもしれません。
消滅
これは先ほども説明したように機械に代替されたり、そもそもその仕事が必要なくなって消滅していくことです。こうなると自身の仕事がなくなるということなので転職を余儀なくされます。自分の仕事が明らかに消滅の段階にきている方は消滅が先延ばしになることを祈るのではなくすぐにでも転職した方が良いでしょう。
(3)伸びる市場に身を置く
転職で意識すべき重要なことは自分の仕事の市場価値が失われる前に伸びる市場に身を置くことです。衰退していく業界でスキルを磨いていてもそのスキルを活かす仕事そのものが消滅してしまっては元も子もありません。
ではどうやって伸びる市場を見極めれば良いでしょうか?
多くのベンチャー企業が参入し各社が伸びているかどうか?
これから成長していく市場には多くのプレイヤーが参入していきます。
新たにベンチャー企業を立ち上げる人間やそこに資金を出す投資家は情報に敏感なので彼らの動きに目を光らせておくことで伸びる業界を見極めることができます。そんな知り合いはいないという方でもまずは街中で見たことのない新しいサービスが生み出されていないかアンテナを張り巡らせるべきです。
世の中ではどんどん新しいサービスが生まれています。
そして誰かが参入した新しいサービスがうまくいくと必ずそれを真似する会社が現れます。そうやってプレイヤーが増えている業界はどこか見極めるのです。また新聞などで情報収集することも重要です。新聞は発行部数としては衰退していってますがまだまだ大きな組織力で情報収集している巨大メディアなのでそこから情報を集めるのは有用です。また新聞のメリットとしては自分がまったく興味のない業界の話題も網羅的に掲載してくれているところがあります。スマホでの情報収集はどうしても自分の興味のある分野に偏りがちです。
既存業界の非効率をつくロジック
もうひとつの視点は既存業界の非効率をつくロジックを持っている会社です。
例えば教育業界や医療業界は長年アナログな対応が多い非効率な業界と言われてきました。そんな業界にはその非効率を改善するというサービスを提供しようという企業がたくさん参入しています。直近だと脱ハンコが盛り上がっていますのでシステム上での承認作業を提供する会社などが伸びるかもしれません。また紙の名刺を画像で読み取って社内で共有するサービスなども出てきています。このように非効率を効率化するサービスは既得権を打破すると現場から歓迎されるので伸びる可能性が高いです。
(4)伸びる市場の中でどの会社を選ぶか?
『働きやすさか?』と『市場価値か?』
伸びる市場で成長しそうな会社を複数見つけたとします。その複数の会社からどこを選ぶかという段階で大切な視点です。結論から言えば市場価値が高まる会社を選ぶ方が良いと思います。なぜなら市場価値が高い人間が集まっている会社は会社自体もうまくいっている可能性が高く、人間関係も良好な可能性が高いが、市場価値が低い人間ばかり集まっている会社は後ろ向きな発想が多くなり、愚痴が多くなり、結果として社内の空気も悪くなるからです。
これは私自身も自分の在籍していた会社が買収されたこともあり経験しましたが、業績が下がると社内の空気もだんだん悪くなるものです。
営業の人間が生き生きしておらず、売り上げが伸びないと自然と待遇も良くなりません。会社の業績が伸びていないのに待遇だけを良くする会社はありません。自然と社内での話題も暗くなりがちです。もちろん人間関係などまったく関係なくとにかく業績のことしか考えていないブラックな職場もありますので一長一短ですが、少なくとも働きやすさを重視するのは良いのですが、業績が落ち込んでいるような会社は避けるべきです。
実際に転職活動するためのスキル
転職の思考法を学んだら実際の転職活動に踏み出してみましょう。
実際に転職活動をする上での実践的スキルについてまとまってる良書が「転職と副業のかけ算」です。
こちらは2019年のベストセラーでアマゾンでは350を超えるレビューが付いています。このブログでも要約と書評記事を書いていますのでもしよろしければこちらもご覧ください。
書評
転職に対する思考法をこの記事では要約しました。
本書においてはさらに『転職に対する心構え』『迷いが生じたときの考え方』『パートナーへの説得』などにも言及しています。転職することは会社に対する裏切りではなく、『いつでも転職できる人材が集まっている会社こそが強い』という発想を多くの人に持っていただき良い転職を実現してください。
本書にはマンガ版もあります↓↓↓
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