有価証券報告書と決算短信の違いが説明できますか?
どちらも企業分析に使われる資料ですが、その違いを明確に説明できなくて困っている人もいらっしゃると思います。
また、それぞれについて説明しているサイトも多数ありますが説明分が長かったり、複雑だったりして読んでもよく分からないと思っている方も多いと思います。
この記事では細かい説明は省いてとりあえずこのポイントだけ押さえておけば大丈夫という部分を簡潔に書きます。
目指す部分は企業分析などの専門家ではなく上司や取引先との会話で困らないレベルの基礎知識です。
- ・有価証券報告書とはざっくり何なのか?
- ・決算短信とはざっくり何なのか?
- ・結局どっちをみればいいの?
決算短信とは?
決算短信とは、証券取引所のルールに則って開示される決算に関する資料です。
提出時期
原則として決算から45日以内の開示が義務付けられていますので3月決算の企業であれば5月15日には開示されます
記載内容
決算短信は速報性が重要視されますので財務諸表以外ほとんど書いていません。
また、スピード重視のため会計監査も義務付けられていません。
四半期決算短信
補足として、決算短信には3か月ごとに開示する四半期決算短信という資料があります。
有価証券報告書とは?
有価証券報告書(略して『有報(ゆうほう)』と言われたりします)とは、金融証券取引法という法律に基づいて上場企業などの一部企業に作成が義務付けられている書類です。
提出時期
有価証券報告書は決算日から3ヶ月以内の開示が義務付けられていますので3月決算の企業だと6月下旬まで開示されないことあります。
記載内容
有価証券報告書には、財務諸表以外に企業の今後の戦略、決算の原因説明、従業員の状況、投資の内容などかなり事細かに記載されています。
また財務諸表は監査法人による監査済みです。
結局どっちを見ればいいの?
決算短信は早く出る代わりにほぼ財務諸表のみ、有価証券報告書は時間がかかるけれども記載内容にボリュームがあるという違いがあります。
スピーディーに決算内容が知りたいかたなどはもちろん決算短信を重要視しますし、決算短信が発表された瞬間には株価が動きます。
たとえば、リーマンショックやコロナ過の直後で企業業績が大きく変化していると想定されている時にはいち早く決算の数値を知りたいので決算短信に注目する人が多いと思われます。
一方でその企業の株を長期保有する目的であったり今後お付き合いする上でじっくりと知りたいというような目的の方は有価証券報告書を重要視すると思います。
有価証券報告書にはその企業の未来への志向やそのための投資、人材育成の考え方や採用のスタンス、今後の清涼戦略などかなり大切なことが記載されています。
つまり目的に応じて使い分けていけばよいということです。